ED鍼治療の実例(二)

〈四十七歳・既婚男性の場合/消防署勤務〉

結婚生活十三年目を迎えるこの患者さんは見るからに実直そうなスポーツマンタイプで、来院されたときの国際勃起機能スコアは13点で中程度のEDと診断しました。その症状は性欲が減ってきてはいるものの、なんとかペニスを勃起させて膣に揷入するところまではできるのですが、膣内での勃起が持続せず射精できないこともときどきありました。

それだけでも男性としては十分につらいことですが、この患者さんの場合セックスの悦び云々よりも妊娠を強く望む奥様(四十三歳)の思いに応えてあげることができないという、自責の念からくる精神的な苦痛が相当なものだったようです。すっかりセックスへの自信を失ってしまったのも無理のないことです。それでも自分の気持ちを奮い立たせて治療に来られたのは、愛する奥様との子どもを一日も早く授かりたいという強い意志以外の何ものでもありませんでした。

この患者さんの治療ぺースは週一回で、最初の鍼治療から約ニカ月経つた頃には朝立ちがようやく自覚できるようになりました。喜びいっぱいの表情で朝立ちの報告をしてくれた彼の顔を今でも覚えています。さらに二カ月が過ぎた頃にはEDの症状はかなり改善し、膣揷入後に持続できなかったペニスの勃起状態もなんとか維持できるまでに回復しました。

近年は男女共に晩婚の傾向にあるため、結婚してすぐ「早く妊娠しなければ!」というあせりにも似た精神状態の中で妊娠を急ぐご夫婦が特に多くなってきています。しかし、妊娠という明るい希望に向かっているはずのご夫婦が一日も早く赤ちゃんを授かりたいと焦れば焦るほど、夫のEDの症状をさらに悪化させてしまう例も多くみられます。「もしかしたらEDかも?」と思った時点で早めの検査をおすすめする理由はこのような背景も考慮してのことなのです。

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