ED鍼治療の実例(四)

<三十六歳・既婚男性の場合/中学校勤務〉

この患者さんが奥様(三十五歳)と共に来院された最初の目的は不妊の鍼治療でした。

EDの症状については性欲が減ってきているもののまったくセックスができないわけではなく、膣揷入後のペニスに中折れ現象がときどき見られる軽度のEDでした。精巣容量は右一六cc、左一五ccと、左右共一般的な平均値の一八~二〇ccをやや下回り、これが性欲減退の一因になっている可能性も考えられました。子どもの誕生を心から望まれているご夫婦にとってこの状況はとても深刻です。

早速ご夫婦揃って始めた不妊治療でしたが、ご主人のほうは数回の治療で来院されなくなってしまいました。その理由は鍼が皮膚に触れる際の感触がどうしてもくすぐったくて耐えられなかったというのです。たしかに鍼が皮膚に触れるとほんの一瞬くすぐったい感触がある方もいます。ですが、ほとんどの患者さんは鍼の効果により血流が活発になることで体全体がボカボカと温かくなって、ときに眠気を誘うくらいの心地よさを感じられるようです。

しかし皮膚の感じ方は人それぞれなので、くすぐったくて我慢できないと訴える患者さんに無理を強いることはできません。そこで、この患者さんには鍼治療を受けない代わりに入浴時の「精巣マッサージ療法」と「温冷水がけ療法」、そして朝起きたときにおこなう「起床時のマスターべーション」を毎日続けてもらうことにしました。

結果的に不妊の鍼治療を続けられたのは奥様だけとなったのですが、その鍼治療の効果は大きいものでした。まず治療を始めて三力月が経過した頃には月経時に必ずあった生理痛やその他のさまざまなつらい症状がずいぶん軽減されました。さらには、排卵期に子宮頸管粘液が増えたり左右の乳房が張るなど、女性ホルモンの分泌機能が活発になってきたことを示す現象も体にあらわれてきました。

治療開始から一年を迎える頃にはそれまで想像もできなかったほどの大きな性的快感をご主人とのセツクスで得られるようになり、特に排卵期のセックスでは強いオーガズムを覚えるようになったと言います。

そして、ここで信じられないことが起こりました。なんと、セックスをするごとにオーガズムをより深く感じていく奥様の相手をされていたご主人のEDが急速に改善されていったのです。もちろん毎日続けた「精巣マッサージ療法」「温冷水がけ療法」「起床時のマスターベーション」の効果もあったと考えられますが、ご主人の性欲はどんどん高まって毎晚セックスすることも可能となり、勃起障害や膣内射精障害なども一切なくなって、鍼治療を中断していたご主人のEDが完治してしまったのです。これは一体どういうことなのでしょうか?

このご夫婦の経緯を振り返ってみると、以前の奥様はセックスの性的快感をあまり感じることができない体質でした。全身の血流が良好でない女性によくある現象で、西洋や東洋を問わず医学的にみても血流がよくない状況で自然妊娠することは非常に難しいとされています。そこで、血流を促進して妊娠しやすい体質に改善することを得意とする鍼治療が功を奏したのです。鍼治療を重ねるごとに奥様の血流はどんどん改善されていったと考えられ、さらにはセックスのたびにそれまで感じることのなかったオーガズムも得られるようになりました。そう、ご主人のED完治のきっかけは、セックス時に絶頂に達する奥様の姿にあったのです。自分がリードするセックスで、治療を始める前とは比べものにならないくらいの絶頂感をあらわにする奥様の姿にご主人が男性としての自信を取り戻したことは十分に考えられます。愛する奥様との情熱的なセックスがED完治の起爆剤になったことは言うまでもありません。

ED治痛において男性の内にある性に対する自信を取り戻すことがいかに重要であるかを目の当たりにした贵重な体験となりました。

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*